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  ~懲りない傾向~

40年の筆圧

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石ノ森章太郎ふるさと記念館で開かれている、永井豪さんの原画展を見てきました。永井さん自身は1967年のデビューですから、40年以上の履歴を持つ漫画家。40年というのは、デビルマンとマジンガーZの、誕生以来の年月のことです。

もうすっかり忘れていましたが、この二作品が同じ年に生み出されていたのは、当時の永井さんがクリエイターとして頂点を極めていたことを思わせます。もっとも、マジンガーZは、永井さんのプロダクションと東映動画(当時)のタッグによるアニメーション展開によって昇華したものでしょう。

魔王ダンテを見るまでもなく、あばしり一家やハレンチ学園といった作品のテーゼからイメージしても、永井さんの指向性は、デビルマンであったように感じます。

原画や複製原画を見ると、あの爆発というより暴力的なエネルギーを放っていた、たかだかB5版かそこらの漫画雑誌の連載が信じられないくらい、永井さんの作画は丁寧な筆だなあと思いました。好みで言ったら、上手な絵であるとは思いませんが、なんかこう、マッドアーティストが「ぐははははっ」と狂気を放射しながら、ガリガリとペンを叩きつけていたんじゃないかと想像していたのが申し訳ないという印象です。デビルマンの終焉のページなどは、雑誌で見た当時の言いようのない静寂以上の静寂、虚無がにじみ出てきます。

今、画力のある作家があの手この手でデビルマンを作り直し、永井さん本人も書き直しているけれど、やっぱり最初に産み落としたシーンは、そこで完結して他者を寄せ付けない魅力があります。マジンガーZも然りですが、こっちは前述のようにアニメーションで描かれた世界観が大きなウエートを占めるので、別の機会に持ち越します。もっとも僕の中ではそれら以上にハレンチ学園が大きくのしかかっているのですが。

言えるわけないでしょ

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そりゃ企画段階でぺらぺらとしゃべれるはずもないでしょうが、押井守監督がインターネット放送において「機動警察パトレイバー」の実写映像化について問いただされ、意味深なコメントを述べました。

パトレイバーの実写といえば、過去にパイロットフィルム的な試みが行われ、特番や特典映像でも世に出たことがあります。数日前、コミカライズを担当したゆうきまさみさんなどは「どの作品もドラマ化の話なんて来たことありませんよ」とツイートしていましたが、横のつながりは定かではありません。

現実の建機の世界があれだけ進んできたほどですから、それこそ映像技術の方はもっとやりたいことができる。二足歩行でがしがしと走り回り、五本指のマニピュレータで超大型拳銃や電磁警棒を振り回すなど、造作もない。だけど、これまたそれこそゆうきさんのデビュー時代のアニパロ漫画じゃありませんが、いまどき変形も合体もしないロボット(注 ウルワシアスGで検索してください)を・・・ というのが、パトレイバーにも当てはまる。僕は嫌いですが、世の中実写ロボットはトランスフォーマーの域にまで行ってしまったのです。

いや、実写って、実写じゃないんだよ実際には。

ここへきてパトレイバーを特撮(多分こっちの方がしっくりとくる)で作るというと、押井さんのことですから、実験的な描写技術を携えてのことと期待しています。が、この人のロボット感は、いわゆるイングラムやグリフォンのような八頭身でかっこいいといったそれではない。むしろ歩く鉄瓶か魔法瓶という物言いを、かつてはレイバーに対するイメージとして語っていた人でもあります。そこが原因で、デザイナーの出渕裕さんとは大喧嘩になったとかそれ自体がやらせだとかの件も有名な話でしたが、押井さんが一時期仕事に恵まれなかったとき、彼を迎え入れたのもパトレイバーでした。

観客側がいまさら過去の波風をどうこう言う筋合いもありませんが、押井さんが「ルパン三世」で干され、「サイボーグ009」でも干され、という過去の映像企画の破綻は、それによってそれらの作品がぶち壊されずに済んだという功罪もあるのです。もしもパトレイバーの特撮化が実現するなら、いまどき変形も合体もしないけれど、AV98式って相変わらずかっこいいじゃねーか。というツボは抑えて欲しいところです。

二代目の蒸着

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来月20日の封切よりも早く、二代目宇宙刑事ギャバンことギャバンtypeG、十文字撃が地上波に登場のようです。本編がインターミッションに入った特命戦隊ゴーバスターズへのゲスト出演は、映画の宣伝企画として最適ですね。映画の撮影は終了しているだろうから、小道具のサイバリアン(二代目用は青いのか)も惜しみなく投入しているのはポイントが高い。でも、車体にSUZUKIって・・・入っていないんだろうなあ。

10年後は定かでなかったが

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20年も経つと、建設機械も前後のキャタピラを可働させて立ってみたり、両腕でがれきや資材を持ったり切ったりするのです。1988年頃に描かれた、東京湾岸の巨大土木工事という世界観を背景としたロボットアニメの時代は、これはまだ技術的検討と構想の域でしたが、機動警察パトレイバーにおいては

「この物語はフィクションだが、10年後は定かではない」

と謳っていました。

「よーし、造っちゃる」

と、イングラムやレイバーの活躍する様に刺激された当時の若者は、その後技術屋になり、双腕建機を実用化させてしまったわけです。

最近、日立建機がリリースした新型双腕建機は、片方の腕で対象物を持ち上げ固定し、もう片方の腕のアタッチメントで、じゃまなケーブル類を切断したり、対象物自体を破砕する能力を有しています。

そういう細やかな作業って、人力でやってきたのだけれど、建機でおおざっぱに解体した後でないと人が現場に入れない。安全確認やら何やらで、作業の中断という時間的なロスが課題だったのです。これが救助作業現場だとして、作業がストップしてしまうのはやはりもどかしくなる。

その部分に技術的アプローチを重ねて開発されたのが、まさにレイバーの前身と言っても良いかもしれない双腕機。新エネルギー・産業技術総合開発機構の補助事業から生まれてきましたが、メカニズムもすごいけれど、これを操縦する際に使うOSの方もすごいと思う。プロト機を実際に見たのは昨年のことですが、作業環境の設定やフィールドの確保と実機操作によるデータ取りなどは、造っただけでは得られない。これを実際に使用する建設企業のノウハウが活かされています。

見る者の視覚的効果と影響も考慮して設計・デザインされていくパトレイバー・イングラムとは真逆の実用性ありきな、汎用土木作業機械の姿。むしろ、押井守さんなんかには、こういう無骨なやつのほうが好みなのだと思われますが、実写版で撮るという押井監督のパトレイバーって、どうするつもりなんでしょ?

エロイム・エッサイム(違)

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魔法だとか魔法陣だとか言われると、つい口に出してしまいますが、新しい仮面ライダーは、そういう呪文はたぶん唱えないでしょう。唱えなくてもいいんだけれど、魔法の発動時のSEエフェクトというか、何者かの「しゃべり」がうっとおしすぎる。

Wやオーズ(もともとは555あたりから?)アイテムに組み込むサウンドギミックに音声を使い出していますが、うるさいことこの上ない。といって、いまどき「ソロモンの笛」でぴーひょろろっていうのは流行らないのでしょう。まあどうでもいいのです。興味の対象はバイクでしかないのです。

マシンウインガーと呼ばれるスーパーバイクが、どの程度活用されるのか。そこに力を入れてくれれば、あとは多くを望みません。ただ、ライダー特撮にCGを多用しすぎるのは興ざめで、あー、いかにもトランポリンだとか、ワイヤーだとかの、泥臭さが残っていたほうがいいなと思います。でもウィザードのこのキラキラ感だと、そういうのが逆に邪魔になるのか・・・

習慣性と常習性

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仮面ライダーで育ったお父ちゃんたちより10年若い世代のお父ちゃんたちが狙われる時が来たのか、単発には終わらなかった宇宙刑事ギャバンの登場。しかもギャバン&ギャバンをやって、あと二人の宇宙刑事が御蔵入りのままになるはずがありません。

そればかりか、その気になったら宇宙刑事シリーズではなく、メタルヒーローシリーズという風呂敷を広げることができる。17作品もあるのです。もうやめられない止まらないですね。ライダー、戦隊とは異なるものをという産みの苦しみの時代とその教訓はどこへやら、です。

ギャバンを創り出した時、視聴率が取れなかったらクビだとまで、当時のプロデューサーは宣告されたそうですが、今は「仮面ライダー」の記号をつけておけば新規のヒーロー企画も成立するという、クリエイターにとって不幸の時代。そのうえ度々言いますけど、過去の資産の使い回しで企画が通るなんて、自動車メーカーが見たら泣いちゃうよなあと思わされる売り手市場なのです。

いや真面目な話、この二代目ギャバン(左)が通るんだから、01時代のエスクードをそっくり復活させたっていいじゃんか。と言いたくなります。

何から何まで新しかったかといえばそうとも言い切れませんが、ソフトバンクによって生み出されたケータイ捜査官7や、タカラトミーが打ち出したレスキューフォースで、ちょっとは流れが変わるのかと期待していたのに、老舗の大手がこの路線で食いつぶしを続けているようでは、21世紀を代表する新しいヒーロー像というのは、当分登場しないのでしょう。

情報過多です

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あまりにも雑誌やインターネット上の前フリ情報が多すぎて、観に行く前から起承転結全部わかってしまうのは、その情報に直接さらされている子供達であって、想像力も緊迫感も与えない宣伝というのは問題だなあと感じました。

逆に言えば、あっと驚かせられない脚本家のていたらくなのですが、それもこれも宇宙鉄人だとか大鉄人だとか、過去の遺産に頼りすぎで、新しいことをやろうとしない弊害だと思います。それで映画の最後に「宇宙刑事ギャバン」の新作宣言なんだから、今度はゲストでロボット刑事でも出してくるのか?

と失笑するしかなかった、仮面ライダーフォーゼと特命戦隊ゴーバスターズの二本立ての、フォーゼの方の印象(ゴーバスターズに至ってはルーチンでしかない)。新作ステイツのカラーリングやら如月弦太朗の言動の矛盾やら宇宙鉄人の扱いやらと、まあいいおっさんがムキになって論じてもしょうがないのでほっときますが、こんな資産の無駄使いをしていたら、ほんとにダメになっちゃうぞ。

それでもさ、マシンマッシグラーが想定以上に活躍していたので、許すか。

ついでに言うと、どちらの映画もSSレイドの未攻略箇所が出まくりです。

エンターテインメント

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遅ればせながら「BRAVE HEARTS」。前作の天然ガス採掘プラントでシリーズ完結と聞いていたので、「あらっ、それじゃあ、あれやっちゃうのか」と思ったとおり、原作となる「海猿」全編で最も悲惨な海難事故であるはずの、旅客機洋上着水。この話は乗客の半数が犠牲になるし、みてくれのパッとしない中年機長とCAの悲恋ものだし、凄惨さを前面に出しながら希望につなぐエピソードとはいえ、扱いにくそう。フェリーを沈めた前々作の冒頭でちょこっとだけ扱った旅客機墜落のシーンでお茶を濁したように見えていたのです。

が、やっちゃうと。

中年機長が妙にいい男になっていると配役を見ていたら、物語の上でのCAに絡んでくるのは、主人公仙崎大輔の後輩にしてバディである吉岡哲也(佐藤隆太さん)に入れ替わっていた。まさか、機長とCAのポジションまで入れ替えちゃったりしたら、吉岡、せっかく第二作で沈んだフェリーから生還したのに、大丈夫かそのフラグ? という余計な心配までしてしまうのです。

プロデュース側も「自分たちはストーリーがわかっているからいいけれど、ニュートラルな人が見たらどう感じるか不安」と語っているのですが、この映画はむしろ、ニュートラルな人々が観やすいよう、構築されているのではないかと思います。いや、それでいいんです。エンターテインメントというのは、観客が小屋を出たときに、どよーんとした気持ちにさせてはいけないでしょう。ただなー、このシリーズが始まった頃の加藤あいさんは、海猿の世界観の中でのヒロインとしていい雰囲気を持っていたのに、経年に対して魅力の出方が追いつかなくなっている。ついでに言うと、CA役の子が輪をかけて魅力的でない。エコノミーパーサーを含めて5人出てくるなかで、別の脇役の子のほうが可憐だというのはどういうことなんでしょ。

 

増殖の時空戦士

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ちょっと休憩と思って常磐道の中郷サービスエリアに立ち寄ったら、抽出中にコーヒールンバの流れるあの自販機の隣に、抽出中に「時空戦士イバライガー」のPVが流れるコーヒー自販機が設置されていました。そういう舞台もあったのか! 道の駅しもつまに第1号が設置されたそうで、県内各所に増殖しているようです。増殖していると言えば、この人って不祥事によって退任して「R」として復帰したところまでしか知らなかったのですが、なんだかとんでもない人数にバリエーション化している。

三度目の受難

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第一話からモブシーンに登場して、一部のコアなファン(どっちのだ? エスクードか、ゴーバスターズか)に喜ばれた1990年式のヘリーハンセンが、性懲りもなく三度目の受難に遭っています。

二度目の前回はソウジキロイドにタンク内のエネトロンを強奪されていました・・・と、今考えると、掃除機のメタロイドに燃料取られるって、理にかなってねーよ。でしたが、今回は多分、ユーザーのお兄さんが駐車後に落としてしまったと思われるキーが拾われ、メタロイドにされてしまうという、やっぱり車にとっては受難であります。

毎回ちらっとしか出てこないこのエスクードですが、今回、ホイールがパワーヴォルクか何かに変更され、タイヤもデューラーATの新品になっています。前回見受けられた限定仕様白ホイールは、ひょっとして冬タイヤ用だったのか?

もうひとつマニア過ぎな見どころは、このお姉さんで、亜空間から人類を脅かすヴァグラスの親分が、封じ込められた自分自身の代行者として送り込んできた二人目のアバターという設定。これまで暗躍してきた青年の姿をした「エンター」に対して、彼女は「エスケイプ」と名乗っています。キーボード上での略称は「Esc」なわけですから、この絵的な組み合わせは、作為的なんじゃないかとほくそえんでしまう人は・・・うーん、エスクードファンなのか、ゴーバスターズファンなのかもはやわかりません。

ところで、今回初めて気になったのですが、メタロイドに変化させられた素体は、ゴーバスターズの攻撃によって「削除」、破壊されてしまうのです。爆散したあとに素体が元に戻っている様子はないので、あのエスクードはもはや、スペアキーがなければ始動できないのよ・・・

しかし二度も三度もひどい目に遭っているエスクードです。もう一回くらい出てきてくれるのではないかと、ついつい期待してしまいます。