伝統的な文化なので旧暦と太陽暦のズレには目をつむるとして、中秋の名月は「年に15回ある十五夜のたった一度だけ特別な日」なのです。本日は旧暦ならば8月15日で十五夜だから当然、暦の上では満月ですが、実際には月齢14.3。天文上の満月は明日の月齢15.3となります。ただ、その満月である10月7日の記事に、まあくだらない話なんだけれど調べていたら面白くなってしまったやつを書くので、月のお話は中秋の名月である10月6日で触れていきます。
「かかるほどに宵うち過ぎて、子(ね)の時ばかりに、家のあたり昼の明さにも過ぎて光りたり。望月の明るさを十合はせたるばかりにて、ある人の毛の穴さへ見ゆるほどなり」と、「竹取物語」の終盤に綴られたこの物語は、平安前期に書かれたらしく、だけど作者がわからないまま現代に受け継がれています。月からやってきたかぐやが月へ召されていく場面として表現されているように、望月の、つまり満月のことを示しているならば、おそらく誰だかわからない作者は中秋の名月あたりをイメージしていたのかもしれません。
十五夜だとか名月だとかの風物は中国伝来ですが、平安期に渡来しているでしょうから、そんな場面設定が行われても不思議ではない。そもそも竹取物語自体が日本最古の(しかもジャンルで言ったらSF)と言われながら、中国やチベット文学に類似例があるようですから、月に対する人類の想像力は世界的な規模だったと想像できるのです。でも竹取物語についてはまだ僕が勉強中なので深入りできません。
でもって結局こっちへ流れるんですけど、月から来た娘と言ったら僕の中では南夕子です(夕子なんだよっ)。石堂淑朗さんの脚本で突如、ウルトラの力を与えられていた彼女が「月星人」という素性を持ち、月の同胞が怪獣ルナチクスに襲われ冥王星へ避難していると。ルナチクスは月から地球へ侵攻してきたため、夕子と北斗星児によるウルトラマンエースの戦いで撃退されますが、夕子は同胞の元へ行かねばならない宿命。えっ、来週から南隊員出ないのっ⁉ と子供心に衝撃的な竹取の再現でした。
なんかもう中秋の名月どうでもいい話になってますが、これは1972年10月13日の放送でした。アポロ11の月着陸からまだ3年程度の時代です。まあまあ落胆してしまったけれど、夕子は次作のウルトラマンタロウにゲスト再登場するのですがそれは置いといて、この年の10月13日は月齢17.5。満月は28日だったようです。中秋の名月に至っては9月22日で、せっかくの夕子去就のエピソードは放送日が固定されているから暦とは連動できていませんでした。