「ぐーちょきぱん」という名のパン屋を、浜松の浜名湖界隈に地図上で見つけて、なんかどこかで聞いたことある名前だなあと思いながらこの店を訪ねたらば、なんかどこかで見たことあるなあとつぶやいてしまう佇まいの一軒家ベーカリーだったのです。窓の向こうにあの黒衣に赤リボンの魔女見習の娘こそいませんでしたが、まさしくあの娘が居候して店番をしながら、届け物の依頼を待っていたパン屋によく似ています。
売り場はとてもちいさいながらも、ショーケースには沢山の種類のパンが並び、厨房ではオーナーが真顔で生地作りにいそしんでいました。応対してくれた奥方は、あの映画の女将とは異なる雰囲気だけれど明るく朗らか。聞けば「魔女の宅急便」を見てこの設えのパン屋を立ち上げようと決心し、もう28年めになるのだとか。あ、思い出しましたがあの映画って1989年公開。そこからパン屋さんとしてこの店構えを実現するまでの「前史」も大変な年月だったのでしょう。「食べた口当たりや味も当然のこと、アイデアやデザインを考えるのは今でも難しいです」とのお話でした。
小ぶりながら値段を抑えたパンは丁寧に作り込まれ、カレーパンはこのところの食べ歩きで一、二位を競える風味。デニッシュ系ではトッピングに終わらず中身にもカスタードやイチゴソースを封じたイチゴデニッシュが大変美味しい。週末限定としながらもクグロフを置いているところはちょっと意外性があります。うーん、通うのは大変だけれど、浜松に出向くときには立ち寄っていこう。二階はイートインスペースとなっています。