ちょっと前のお話。 友達と連れ立って仙台に遊びに行った甥っ子が お土産にと買ってきてくれたお饅頭。 中の餡はずんだでした。
ある日のお茶請け。
Ezyの公開を祝して
20世紀末、あの東京湾直下型地震という未曽有の災害から端を発した復興対策と内需拡大政策の産物に、当時軌道に乗りかけていた汎用ロボット産業が急速に成長した。ここで開発の進んだ2足乃至多足歩行機械には「レイバー」の呼称が与えられ、壊滅した東京復興の土木作業現場に大量投入され、その劣悪過酷な環境や人間関係、復興の方向性に異を唱える過激派の破壊活動などレイバーを介在させる犯罪も多発。結果、警視庁警備部内に特殊車両2課が創設されるに至った。
パトロールレイバー中隊、通称パトレイバーの誕生であった。
この大災害の少し前、警視庁には高度化を遂げるテロ行為に対抗すべく、秘かに機動捜査官を運用した時代があった。90年代のロボット技術よりも前に推し進められていたバイオ産業をベースとしたサイボーグ技術だ。その成果は大規模テロ組織の壊滅を果たし、人間を遥かに超越した能力を遺憾なく発揮した「機動刑事」の評価を二分することとなった。多くの見解は、この機動刑事計画を拡張展開することへの倫理的人道的批判であり、テストケースとして産み落としたサンプルをどのように後始末するかの議論が集中した。
その後のレイバー産業の台頭により、サイボーグ・機動刑事の存在は秘匿され時代の流れに沈んでいった。現在、現役の警察官においても、それを知る者はいなくなっていた。
「やあ・・・これがしのぶちゃんが作り上げたパトレイバー中隊の今の姿か。あの頃とあまり変わっていないねえ」
出動現場に待機中のパトロールレイバー・AV98式plusの真下に1台のコンバーチブルが現れた。屋根のフレーム上に簡易赤色灯が灯っている。運転席から降りてきたスーツ姿の中年の男は、聳え立つような98式plusを見上げながらつぶやいた。
「第二小隊の佐伯です。お話は上から指示を受けていますが・・・あの、その『しのぶちゃん』というのはひょっとして」
特車2課第二小隊長、佐伯貴美香は、自分とさほど年恰好の変わらない男の言動が腑に落ちなかった。
「あぁ、はい。南雲しのぶちゃんは僕と同期で本庁では出世頭になるぞと言われていました。彼女もねえ、いろいろあって、け躓いている間に僕の方が偉くなっちゃったんですけど、僕は僕で散々な目に遭ったので」
「・・・失礼ですが田村警視正、南雲先輩と同世代とは思えないんですが。むしろあたしと・・・いえ、本官と同年代・・・でも思い当たる人がいないわ」
「そりゃそうてですよ。あの地震の後、やることないなら復興現場で働けって本庁から出向させられましてね。あなたの預かっている第二小隊が、後藤喜一警部補の布陣で発足したときだけ、首都高の渋滞で現場に小隊の到着が間に合わないかもしれないから先回りして支援待機せよって言われたことがあります。そのときは結局出番がなくて済んで・・・ちょうど体調も思わしくない頃だったんで抜本的なメンテナンスを受けるために長期入院しましたから」
田村という男の説明が、さらに佐伯を混乱させた。
「長期入院って、第二小隊発足からもう30年以上過ぎてますよ? 口承年齢と背格好がまったく合わないじゃないですか」
「はい。なんせ僕は80年代の技術が生み出した試作品なもので、90年代末期には産業技術がほら、こいうったレイバーに傾倒してしまっていたからメンテナンスが思うようにできないってんで、しばらく寝てろと冷凍保存されてしまいまして。だからそうですね、僕の実年齢は・・・ことし2030年だから、65くらいかな」
「・・・」
「そんなことより現場の方ですが、どんな具合なんですか」
「えっ、はい。ご覧の通りAIの暴走を引き起こした無人レイバーが制御を離れて建物を破壊。うちの2号機が敷地内に押しとどめている最中ですが、足元から正体不明の植物らしき蔓が繁殖して逆に動きを止められてしまい・・・」
「なるほどここは食糧増産開発の研究施設ですもんね。なんか悪いものでも食わせちゃったかな」
田村が遠方を眺めているところへ、1号機指揮担当の天鳥桔平がやってきた。
「隊長、1号機のバッテリー交換終わりました。いつでも再突入できます。というか、十和のやつが殴り込みたくてしょうがないというか」
「も少し抑えときなさい。上からはこちらの田村警視正の指示を仰げと言ってきてるのよ」
「それは承知してますが、あいつ、なめてかかって長期戦にもつれ込まされたって自覚が無いんですよ。やられたからやり返すの一辺倒で」
「しょーがないわねえ。何事もないことを一番だと思いなさいって日頃から諭してるのに」
その対話に割り込むように、田村が髪の毛をかき上げた。
「そういう話なら、やっちゃいましょうか」
「はあ? やっちゃいましょうって・・・何を」
「えーと・・・指揮担当の」
「あとり。天鳥巡査です。フォワードは久我十和巡査、跳ねっ返りです」
「けっこうなことです。それでは天鳥巡査、まず僕が突入して活路を開きます。といっても僕の権限でできることは、あの怪物植物の息の根を止めるところまでね。2号機の動きを解放しますから、手早く、連携して暴走レイバーを鎮圧してください」
「と・・・突入って。そりゃ危険ですよ」
「大丈夫。荒仕事は慣れてます。人間の生命を最優先とし、これを顧みない、あらゆる命令を排除することができる。それが僕に許された権限の第3条。では準備を指示してください」
田村は上着を脱ぐと、そっと佐伯に手渡した。
「ならば、行きます!」
田村の前身が青白い光を放ち、その姿が瞬時に変化する。
「対バイオロン法第1から3条並びに第9条の定めるところにより、特車2課第二小隊の支援業務に入る!」
銀色の装甲を身にまとった機動刑事は突入を開始した。
たぶんですが、「機動警察パトレイバー」の南雲しのぶさんと、「機動刑事ジバン」の田村直人刑事は同い年の1965年生まれらしいので。というそれだけの設定すり合わせで、これ以上の場面は何も考えていませんです。
