1975年10月7日に放送開始となった「アクマイザー3」は、仮面ライダーと秘密戦隊ゴレンジャーの中間をとったアクマ族三銃士の布陣でしたが、石森章太郎原作の世界観が発揮され、悪の中から離反するヒーローというフォーマットが敷かれていました。ただ、解説によってアクマだったり悪魔だったりで、こいつらの素性は基本設定を読み解かないとよくわかりません。それによると、約2万年前に地上の環境破壊から逃れて地底世界に避難移住した古代人類の一部らしい。
彼らは劣悪な地底世界で生き延びるために独自の進化を遂げたとか、自らをサイボーグ化したとも云われていて、その結果未知の意能力を身につけ地上に戻ったら、生存していた人類に悪魔と恐れられ、アクマ族と名乗るようになったということでした。
ここで笑っちゃいけないのが、せっかく地底に逃げ延びたのに生存の代償として異形の一族と化したわりには、地上の人類も滅亡していなかったという悲哀の末路です。そういうことならと、アクマ族は地上侵攻を開始するわけで、それに反旗を翻してしまったのがザビタン。彼を抹殺に送り出されたイビル、ガブラもやがて仲間になってしまう展開でした。
約2万年前。地上で何が起きていたのかというと、地球史上最後の氷期が最盛期の頃です。海面は現在と比べ約120m後退し、日本列島と大陸は地続きの時代。草原の広がる後の日本のあたりにもナウマンゾウ や オオツノジカが大陸から渡っていました。ただ寒冷化気候で今の九州北部あたりが今の北海道くらいの環境だったそうです。
でも、このあと槍先形尖頭器とか細石器、石鏃、土器といった文明が生まれていったように、何もわざわざ地底に避難して異形の民族にならんでもいいじゃないのと思うんですよ。なぜ彼らをそうさせてしまったかの地球史の根拠は、おそらく寒冷化だけではなく、約2万5500年前にニュージーランド(現在の)のタウポ湖が大爆発を起こし、1兆トンを超える火山噴出物が世界を襲ったことや、同様に約2万4500年前、現在の九州にあたる姶良カルデラの大爆発で未曾有の被害が出たことがあげられるかもしれません。
そこへきて、ようやく生活基盤が落ち着いたかと思われる何世代かあとの約1万1500年前、地上の最終氷期も終わって温暖化が進んでいた頃、今度は地上で活性化していた大陸移動の時期に、アバン大陸という場所にアステロイドBと呼ばれる小惑星が衝突してしまうのです。
この滅亡の危機においても地上の古代人は地底に活路を求め大量避難が進められました。ひょっとするとこのとき遭遇した先住地底人たちが、悪魔と思いこまれたのかもしれませんが、あとから逃げ延びてきた古代人たちにも優れた科学技術があって、選ばれた勇者は赤い巨人に姿を変えて攻防を繰り広げたのではないか。そうすると地底もまた安住の地ではないと、自称アクマ族が地上を目指したのも無理からぬことでした・・・たぶん(注 ファイヤーマンは1973年1月7日からの放送)
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