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  ~懲りない傾向~

なぜ今98‐AVplusなのか

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「機動警察パトレイバーEZY」がようやく劇場公開としてスケジュールに乗ってきましたが、2013年設定の特撮版を肯定したとしても、そこから約20年経過している2030年代を舞台に、主役のパトロールレイバーがあの98式AVイングラムをベースとしながら中身の大幅なアップデートで運用し続けているという基本設定に、まあいろいろな声が上がっています。そんなの「あれがかっこいいからあれこそパトレイバーなんだよ」で片づけちゃえばいいんです。

1988年誕生の同作品と同い年で言うなら、スズキエスクードの初代モデルは今なお「あれは良かった」と言ってもらえているし、実際僕なんか今でも(91年式だけど)1600コンバーチブルに乗り続けています。しかも同作のイングラムplusどころか、当時ものですよ。パトロールレイバー、流石官給品ですよ、改修予算もらえるんだから。

とはいうものの、なぜ2030年代までこのカタチを踏襲するのか。制作陣にはその理屈と思惑があるのでしょうけれど、そこを考えてみたいと思い立ちました。

イングラムplusのハードウェアは、車体スタイルを若干マイナーチェンジしながらも、材質の高度化やフレームの強化などが施されているそうですが、肝心なのは、AI搭載時代の作業用レイバーとは一線を画し、今なお搭乗者がAIの支援を受けながら操縦するシステムを用いている点です。

おそらくここには、警視庁側の思惑があって、この改修計画が立案された頃の警備部長は過去の警察機構刷新で特殊車両二課に理解を示す人物が登用されたのかもしれません。その人事は後に再び刷新されて物語の時系列になると、またもや特車二課はお荷物扱いに転落している(のではないか?)。なぜそうなっても二課が存続しているのかと言えば、「レイバー絡みの大事件、大事故が生じた場合、風よけ弾除けとして前線部署を置いておいた方が無難」という内政的判断によるものが起きてくるのではないかと考えています。

もう一点、たぶんそんな展開にはならないと思いますが、別の視点で、イングラムの姿をとどめたイングラムplusとそのインターフェース、さらに今回のドラマの主人公との関係性が織り込まれていたらいいなあと感じるものです。

どういう切り口かというと、イングラムplusの操縦支援AIは、当然ながらこれまで98式AVを動かしてきた操縦士の技術がデータ化され、基本プログラムが成り立っているはずです。もちろんそこに新しい情報も加味され、フィルターを通して「操縦資格と技術を取得した者であればスムーズに動かすことができる」システムになっているでしょう。

しかしplusのAIには、ここはそうじゃない、そこはこうすべきという、かつての現役操縦士の理念や思い込みが宿っていて、「人並みの後任操縦士だったら相手にしない」レベルで深く休眠している。ところが「こいつ、わかってるじゃん!」とAIを覚醒させるに足る操縦士が動かしたとき、「『彼女』の信念と意志がイングラムplusの支援を越えた動作を引き起こす」、誰しも予測も想像もできなかったスイッチが起動する。

この現象はなぜか、同じバージョンのAIが載っていても、型式の異なるレイバーでは発動しません。イングラムを、理想を上回る機動性で動かすことのできるAIは、理想の駆動を可能とするイングラムのフレームを持ち、関節可動域も「AIが記憶している」イングラムそのものでなければ『彼女』の琴線に刺激を与えることは無いのです。

こうすることで、今度の主人公である久我十和という何人目かのフォワードが重大な危機に陥った時、『彼女』の意志が助けに現れる。犯罪者のレイバーに前後から挟撃された十和は距離をとってリボルバーカノンを引き抜こうとしますがそれが作動せず、前方から間隙をついて襲ってきたレイバーをかわしつつ振り返り、後方から掴みかかるレイバーにバックブリーカーを仕掛け、2台を同時に撃退する。時空を超えた泉 野明と久我十和の邂逅と交流がイングラムplusの想定外な性能を呼び覚ます。なんて展開を見てみたいねえと思うわけです。