Ninox theomachaという学名をつけたのがナポレオンの甥っ子ならば、これを「セグロアオバズク」と和訳した人もいるわけです。日本で鳥類学者と言ったら山階芳麿博士だろうかと思ったらやはりその通りでした。ジムニーに乗っていた頃、バードウォッチングでもやろうかねと大枚はたいて買った゜世界鳥類和名辞典」は、まあ「見た鳥を識別確認しよう」と考えていた僕には大きな的外れだったのですが、ようやく(だってこれ高いんだよ)回収できました。
この辞典は図版付などという生易しいものではなくて、ひたすら鳥の学名和訳を列挙しているだけの、だけの、なんですがとてつもない情報量ではあります。日本における野鳥などの名前の付け方は、アメリカの鳥類学とは少し異なり、神話だの寓話からのイマジネーションよりも、体躯のどこそこがちょっと違うといった特徴をもとにしています。アオバズクの仲間だけれどお腹の模様と背中の羽の色がニューギニア固有種ならでは。という観察から、セグロという冠が付けられたのです。
ミミズク科すら無いというのに耳があるからミミズク、よりは科学的な視点ではあります。この山階和名は、辞典においては世界中のすべての鳥が同様の方法で名づけられているのです。山階博士がこの名前を考え出していなければ、霙がクロスビーの車体外観特徴から「せぐろさん」と名付けることもできなかったというわけです。霙の命名方法も、山階和名の付け方と同じというのは、その方が説明抜きでもわかりやすいのかもしれません。
だからといって、テオマカ(マハ)をテオマチャと呼んでしまった僕の場合は、それが公には間違ってんだよという事実を曲げることもできません。参ったね、もう34回も連載に使っちっゃてるし、このまま貫き通すしかありません。